Q: 1942年のアメリカ映画『カサブランカ(Casablanca)』の劇中で主人公のハンフリー・ボガート(Humphrey Bogart)がヒロインのイングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)に言う「君の瞳に乾杯」という台詞ですが映画を見ている時はかなりいけてる訳だと思いましたが、オリジナルの英語の台詞“Here’s looking at you, kid.”からどうしてこの訳が出てくるのか分かりません。これってかなりの意訳なんですか?
A: “Here’s looking at you, kid.”
この中で中学で習わない単語は何一つありませんが、直観的に意味がまったくわからない、なかなか難しい口語ですね。
まず、“Here’s ~”は乾杯をする時に使われる言葉です。
“Here’s to our friendship!”「私たちの友情に乾杯」、“Here’s to you!”「あなたに乾杯」、“Here’s luck.”「幸運を祈って乾杯」
などと使います。
“Here’s looking at you.”も乾杯の時に使われる言葉で、元々は「(神様が)あなたを見ていますよ」という意味です。
また、文末の“kid”は年上の男性が、年下の女性などに親しみをこめて呼びかける際に使われます。映画では字幕の長さの制約もあるでしょうが、訳していません。「君を見つめて乾杯」といった感じでしょうか。
こう見ていくと「君の瞳に乾杯」という字幕翻訳は、やはりかなりの名訳と言えると思います。
“Here’s looking at you.”以外の成句で「乾杯」を表すものには“Here’s mud in your eye.”があります。
これは、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
『Wiktionary』 は“Here’s looking at you”を次のように説明しています。
A toast made to a friend or acquaintance when drinking an alcoholic beverage.
“Here’s looking at you”が、この映画以外に使われた例
2009, Catelin Hoover, “The Assignment”:
“Here’s looking at you, Dave, old man,” Nick gestured a toast with a half filled punch cup.